賢者のプレゼント （ロビン・シャーマ／ビジネス社）

「きみが死の床で臨終を迎えるとき、まっさきに頭に浮かぶ質問が3つだけあるはずだ。　それを私は人生最期の質問と呼んでいる。　死ぬ間際になって一番気にかかる問題がそれだとしたら、いっそ思い切って、今すぐそれを最重要課題にしてしまってはどうだろうね」

「で、その質問というのは？」

僕は問いかけた。　その答えによって、ぼくの人生は大きく変わってしまうかもしれない。

「簡単な質問だよ。　『賢く生きたか？』、『心から愛したか？』、そして『人のために十分に尽くしたか？』」　　（22頁）

「それに、物理学で習うように、同じ振動数を持つ物質は共鳴するからね」

「わかります」

「つまり、きみの持つ考えは磁石のようなもので、きみの人生に自分と調和する人々や物事を引き寄せるわけだ」

「それ、本気ですか？」

モウの思いがけない言葉に、ぼくはあ然とした。

「あぁ、そうだよ。　信じられないだろう？　実は、人間の考えとは、実現を前提とした予言のようなものなんだ。　この世界を物足りない場所だと考えた者は、最後にはその通りの現実を生み出してしまうはずだ。　自分はかわいげのない人間だから、正体がわかってしまったら誰も一緒にいてくれないだろうと考えた者は、いつまでたっても探し求める伴侶にめぐり合うことができないだろう。　人生はつらいものだと思い込んでいる者には、世界はつらい人生しかもたらさないはずだ」　　（198頁）

「すばらしい。　きみの人生に生きる価値があるということは、記録する価値もあるということだ。　毎朝サーフィンに出かける前、ぼくは書き物をする時間を取っている。　自分では『つれづれノート』と呼んでるんだ。　人生のエピソードや日々の出来事を書きとめるんだ。　まだ実現していないあこがれや、何かがうまくいったときの喜びも書きつづる。　自分を幸せにしてくれることや、悲しませる出来事もね。　苦しみについても書くし、過去に自分が傷ついた経験からどんな教訓を学んだかも書く。　毎朝まっさらな白いページに自分の心を書き込むのって、ちょっと不思議な感覚だよ。　まるで毎日が新しい人生の始まりで、太陽がのぼるたびに、ぼくにとっての理想の人生像を現実というキャンバスに描き出していくって感じかな。　新しい１日１日が、全く新しい人生を始めるチャンスを与えてくれるなんて、すごいとしか言いようがないよ」

「本当にそう信じているんですか、モウ？」

「ああ、そうさ。　人生を変えるのに10年も、１年も、いや１ヶ月もかかりはしないよ。　ほんの一瞬で人生は変わるんだ。　単なる平凡さに満足せずに、自分のために用意された人生に全身全霊で取り組もうと心の底から固く決意した瞬間に、きみの人生は変わるんだ」　　（210頁）

＜目次＞

はじめに
神父
サーファー
CEO
訳者あとがき

＜著者紹介＞　ロビン・シャーマ
ビジネスと人生におけるリーダーシップを説く世界有数の専門家。　国際的ベストセラー『3週間続ければ一生が変わる』（海竜社）、『あなたにとって一番大切なもの−フェラーリを手放して、お坊さんになった男』（PHP研究所）など数多くの著書がある。　マイクロソフト、ゼネラル・モーターズ、IBM、FedExなどの一流企業で基調講演することも多い。　現在は「シャーマ・リーダーシップ・インターナショナル（SLI）」CEO。SLIは学習サービス会社として広く知られ、時代の荒波に流されずに幸せになるための能力開発に携わっている。

★　　ロビン・シャーマ　オフィシャルサイト（英語）　　http://www.robinsharma.com/